前回の投稿「僕と WordPress のこれまでの歩み – part 1」では、自分が初めてホームページを作成した話、初めて WordPress に出会った話、Automattic 社に応募したけれど入社試験で落ちてしまった話をしました。まだ読んでいなければ、ぜひそちらを読んでから読み進めて下さい 🙂
Automattic 社に再応募する決意
Happiness Engineer としての入社試験で落ちた後、しばらく落ち込んでいましたが、どうしても諦めきれない思いがあり、再応募することを決めました。Automattic 社は創業当初から完全リモートワークの会社で、日本でも海外でもなかなか見ない自由な社風を持っていました。気づいた時には、Automattic 社員のブログをいくつもフォローしていて、それらの投稿が配信されるたびに、「自分もそこの一員になるんだ」と決心が強まっていく一方でした。
そこで、2回目の応募は絶対に失敗したくないと思い、戦略的に業績を積んでから再応募することにしました。具体的には3ヶ月かけて、次のことをしました。
- WordPress.com (Automattic 社のレンタルサーバー製品)でブログを開設し、再応募までの道のりを投稿
- 不採用メールに書かれていた推薦図書を全て読み、ブログにレビューを投稿
- 社員のブログから、Automattic が求めているカスタマーサポートの理念を探り出し、それを元に「僕のカスタマーサポート理念」を作成
- WordPress.com サポートフォーラムにて、ボランティアとしてお客さんの質問に返答(3ヶ月で300近い案件に答えることができました 🎉)
その時開設した英語ブログは、今もアクセスできます。なお、デザインは年1回ペースで更新しています。
Wix を経験
再応募までの間、Wix のサイトを業務委託で作る国内のバイトを見つけました。そちらの募集要項には「サイトを作る」とだけ書いていたので、自信満々に「WordPress のサイトなら作れます」と面接で話しました。ただ採用者からは「そっか。けど、うちでは Wix で作ってね。経験がなくても大丈夫、Wix の方が WordPress より簡単だから。」という返答をいただいたことを今も覚えています。
正直、それまで Wix について聞いたこともなかったので不安ばかりでした。ただ他に仕事の選択肢があったわけでもなったので、頑張って覚えるぞ、と意気込んで始めました。納品したサイトは結局3つくらいだったかなぁ?ここだけの話、「Wix は WordPress よりも簡単」という面接官の言葉には、今も疑問が残っています 😅
このバイトをしていたのは2018年12月で、ちょうど WordPress が「Gutenberg」という名でブロックエディターを打ち出した月でした。バイトでは Wix を、個人ブログでは出たばっかりのブロックエディターを、そして通っていた教会のためにはクラシックエディターでサイトを編集し、3つの編集環境を直接比較できる貴重な経験だったと、今は思ってます。
いざ、Automattic に再応募
前回落ちてから3ヶ月後、思い切ってもう一度 Automattic の Happiness Engineer として応募しました。2回目の応募だと書いていたこともあり、1回目よりもスムーズにことが進みました。数日後には、前回失敗した2次試験問題「よくある顧客の質問」を送られ、それらに対する答えを再び提出して欲しいと言われました。
2回目は、自分でもびっくりするぐらい、初回と違う答えを書くようになっていました。3ヶ月の成果もあってか、「そっかぁ、会社はこういうことを求めているるのかな?」と、出題者の意図が見えた気がしました。
数日後、2次試験を無事通過し、その後2次面接も合格できました。今度もまた Slack での文字ベースの面接でしたが、面接官が1次面接と同じ方だったので、慣れてきた環境に少しホッとしました。
試用期間
ここまでの試験と面接を終えた後、次に待っていたのは「Trial」というものでした。日本でいう「試用期間」みたいなものでしょうか?ただ、日本の一般企業は、既に会社に採用された社員の研修期間を「試用期間」とすることが多いと思います。それに対し、Automattic では試用期間を通過した人だけが最終面接に進み、その面接で初めて採用されるかが決まるので、実際はまだまだ試験のような期間です。
僕が応募した頃の試用期間は5週間でした。社員の Happiness Engineer たちと共に実際にお客さんの対応をしていき、WordPress.com の様々な質問にチャットやメールで答えていくものでした。試用期間中はバディーが割り当てられ、僕がお客さんに送るチャットやメールを見て毎日フィードバックをくれました。
一番緊張したのは、毎週金曜日に採用担当の面接官と Slack 越しに面接があることでした。その1週間の働きの様子をバディーが事前に面接官に伝え、その面接で僕が次の週も戻ってきていいかどうか、判定が下される場でした。実際、僕の周りで金曜日の度に試用期間から落とされる人たちがいて、今までのどの試験や面接よりも緊張する場でした。
4週目ごろだったかなぁ。僕は8時間に及ぶチャットをお客さんとした日がありました。サイトを移行したのちに画像が表示されなくなったという問題。WordPress では意外とあるのではないでしょうか?ただ、何をどうしても問題がひどくなっていく一方で、「自分はもうダメだ、今週で終わりだ」と本当に落ち込みました。泣きながら、食事や休憩もすっぽかしながらサイトをいじり続けたあの日は、今も忘れられない思い出になってます・・・🥲✨
Automattic に無事入社!
さて、5週間の後、無事に試用期間をクリアすることができました!その後、人事と最終面接を行い、雇用契約書を送られ、Automattic への入社が確定しました。今まで何度も泣いたと書いてきましたが、この日も本当にたくさん泣きました。この日に限っては、喜びの涙でした。
不思議に、この最終面接も Slack で行われました。何ヶ月にも及ぶこの応募プロセスで、僕は一度も会社の人と顔を合わせたことがなかったのです。今こそ、この文字ベースの文化には慣れましたが、当時は本当に不思議なものでした。
入社してから、もう4年
2019年6月、Automattic 社に初出勤しました!といっても、自分の部屋に入り、支給された MacBook の電源をぽちっと押しただけでした 😅 早いもので、入社してから来月で4年になります。
この4年間で学んだことはたくさんあるんですが、何よりも、自分がどれだけ WordPress を知らなかったかということを学んできました。今も、毎日のように新しいことを学んでいます。WordPress というソフトウェアの仕組み、それを支えるコミュニティの歴史、ユーザーたちの特徴、まだまだ学ばなければいけないことは多岐にわたっています。
Automattic に入社後も、僕の WordPress との関わりは二転三転してきました。その経緯と、今の関わりの様子については、次回の投稿で紹介しようと思います。「僕と WordPress のこれまでの歩み」最終回、どうぞお楽しみに!
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